いよいよ2021年6月10日の発売が迫る話題の韓国イラストエッセイ『わたしの心が傷つかないように』(내 마음 다치지 않게)。
一足早く手元に届いたので、キーワードでマインドマップを作ってみました。
今回は、自分なりに感じた本書の魅力をお伝えします。
李聖和さんが翻訳「観察する」=「살피다」はキーワード
本書では「観察」という言葉がしばしば登場する。
例えば『素直に、あたたかく』というエッセイでは、
「素直なアドバイスをしながら気持ちよく会話をしたいなら、まずは相手の心をよく観察して思いやってあげよう」
『自分をよく知る』でも、
「漠然と幸せになりたいと考えるのではなく、自分の身の丈を探しに、つまり、自分自身を知るために、心の隅々まで観察してみてはどうだろうか」
「観察」という訳語が、まさにピッタリ合うと感じたので、韓国語版原書で確かめてみた。
すると、「살피다(サルピダ)」。
「探る、調べる、察する、様子をうかがう」という意味だが、それを「観察」と訳した李聖和さんの言葉の豊かさには唸(うな)らされる。
「観察」から「兎観」という言葉が思い浮かんだ
その「観察」という言葉から思い浮かんだのが、「兎観(とかん)」という造語だ。
ご存知のように「鳥瞰(ちょうかん)」とは、高い所から見おろし、全体を大きく眺め渡すこと。
これに対して、うさぎのソルトが肩の上に乗って、同じ目線で一緒に内面を素直に見つめるのは「兎瞰」と呼べるのではないかと。
このソルトが寄り添ってくれる空気感が実に心地よい。
むなしいとき、悲しいとき、疲れたとき、一緒に泣いて、なぐさめてくれる存在だ。
それは自分の「心の声に耳を傾ける」ことそのものでもある。
著者のソルレダさんも前書きでこう語っているように・・・。
「絵のもつ力は、『抱きしめてあげる』こと。そのなかでは、思う存分考え、感じることができる。楽しいという感情だけじゃなく、つらく苦しい感情も思い切り」
「ゆっくり、少しずつ、確実に」
本書を通して、ありのままの自分を認め、 〝丁寧に生きる〟ことの大切さにも気づかされる。
例えば『ゆっくり、すこしずつ、確実に』というエッセイでは、
「心のなかで呪文を唱えよう。『自分はゆっくり、すこしずつ、確実に成長している・・・自分はゆっくり、すこしずつ、確実に成長しているんだ!』」
『すこしずつ進んでいるなら』では、
「すこしずつ築き上げた自分への信頼は、そう簡単にひび割れたり、錆びたりしない」
まとめ
李聖和さんが翻訳した各エッセイのタイトルも読者の心をつかむ。
100個のエッセイのタイトルが並ぶ目次を眺めていると、いま自分が必要とするページがすぐに見つかる。
韓国イラストエッセイ『わたしの心が傷つかないように』は、悩んだり、行き詰ったときにそっと寄り添い、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれることだろう。
書籍情報
書名:『わたしの心が傷つかないように ひとりでいたいけど、 ひとりになりたくない自分のために』
著者:ソルレダ
訳者:李 聖和(イ・ソンファ)
定価:1,540円(税込)
ページ数:288ページ
出版:日本実業出版社
発売日:2021年6月10日